二品というぜいたく

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今回は豪勢にも,一挙2品をご紹介いたします。
…本当を申しますと,今回ご紹介するメニューは,『それぞれ単独だと炊き出しとしては弱い』という欠点があるため,いつも2品同時に供しているものです。
缶詰や冷凍野菜などを使う事ができるので,安上がりなのはもちろん,
年中通して材料費が安定するというのも魅力です。

そして何より,工程がとても簡単で,分量に味があまり左右されないおおざっぱ料理なのが嬉しいところです。

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一品目
『洋風炊き込みご飯』
10人~15人分
お米 10合
ミックスベジタブル 2袋(これが入ると,ボリュームが出るのでご飯が少なめでも人数を賄えるという嬉しさがあります。)
ツナ缶 4つほど(5合炊きの炊飯器ひとつにつき2つ,という感じです。)

コンソメキューブ

こしょう

<前日の作り方>
・ご飯を適当に吸水させ,炊飯器に通常の分量通りのお水とともに入れます。
・一つの炊飯器につき冷凍のままのミックスベジタブルを一袋,ツナ缶を油ごと2つ,そしてコンソメキューブを一つ入れます。
・好みで塩と胡椒をふり入れ,翌日の出発時間の2時間前には炊きあがるようにセットして,出来上がりです。

<当日の供し方>
・ご飯は炊きあがったときに一度かき混ぜておき,スイッチを切って冷やします。
・現場でコンセントにつなぎ,保温しておきます。(発電機を使用する場合には,電気容量にご注意を!)
・適宜容器についで供します。
・さましておにぎりにしてもおいしいです。

ツナ缶の油けがご飯を艶艶にしますので,ちょっとしたピラフのような感じに仕上がります。
ツナ缶出汁とミックスベジタブルの野菜の甘みがご飯にしみこみ,具の食感とともに充実感満点。
味はさほど強くしないのがコツかもしれません。
控えめな主張が,どんな時でもすんなり喉を通る味に結びついてくれる気がします。
味付きのため,炊飯ジャーでもオコゲ様のものができ,香ばしいのも嬉しいです。

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2品目
『キャベツコンビーフスープ』
10人~15人分

キャベツ 丸1個
コンミート 3缶(当然,お馬さんのお肉が入ったコンミート。)
コンソメキューブ 2つほど(炊き込みごはんと共用できますね。)
ケチャップ
サラダ油
こしょう
醤油

<前日の作り方>
・キャベツは芯も含めてざく切りにします。芯は,薄くそぎ切りにした方が調理時間が短く済みそうです。
・大鍋にサラダ油を敷いて,コンビーフを適当にちぎって入れます。
・コンビーフが温まってほどけてきましたら,キャベツを一気に入れて焦げないように混ぜます。
・コンビーフの塩けで,意外に早くキャベツがしんなりしだしますので,そうなったらお水をひたひたくらいに入れ,コンソメキューブを放り込みます。
・キャベツが柔らかくなってきたら,ケチャップと醤油,最後にこしょうをふり入れて,なじんだら出来上がり。

<当日の供し方>
・とろみがないので,しっかりラップで蓋をして持って行きます。
・コンロなどで温め,供します。

コンビーフはほどけると意外なほど落ち着いたコクのあるだしを出してくれるようです。
キャベツ,ケチャップの甘みが主役なので,醤油とこしょうで味をしめておいた方が,飽きずに喉を通る気がします。
キャベツを大きめに切ると,ちょっぴり煮え上がりの時間がかかりますが,ボリュームが出ていい感じです。

炊き出しというやつは不思議なもので,
2品あると,とたんに心配りが行きとどいている感がとても出る気がします。
ご飯はわざと多めに炊いておいて,あとで冷めたご飯を小さく握っておいて(握るときには,少し強めに掌に塩をとりつつ)
おやつ代わりにそっと出すと,なんだかまかない感があって気持ちが盛り上がります。

ロケの炊き出しには,気持ちがぐっと盛り上がってわいわい言いながら食べたくなる『盛り上がり系』と,
しみじみ食べて張り詰めていた心をゆったりほぐすような『落ち着き系』がある気がしますが,
この取り合わせは手抜き料理であるにもかかわらず,何故か『落ち着き系』です。
野外深夜のロケで一度しつらえましたが,みなさんしみじみと食べ,
その後のロケは粛々と進み,
とても良い撮影になった思い出があります。