香港映画祭レポート


国際都市の今。新作映画『キャプテンビビッド』ワールドプレミアのレポートです。
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去る2019年3月14日,香港にて開催された”Pineapple Film Festival 2019“にて,くつした企画の新作映画”Captain Vivid”がワールドプレミア上映されました。
映像作家・プロデューサーのGina Wongがキュレーターとなって開催されているこの映画祭のコンセプトは”Spiky and Juicy”。毎年パイナップルのごとく尖った新鮮な映画が世界中から集まります。

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今回の会場は,佐敦にあります”Eaton Hotel Hong Kong“。ジャンルを問わず芸術活動の支援を行なうさまざまな施設を備えたユニークなホテルです。

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上映は,終始くすくす笑いのもれる明るい雰囲気で行なわれました。

国ごとの笑いどころは異なるようで,関係者上映会では沸いたシーンでも無反応だったり,逆にまったく想定していなかったところで大笑いされてびっくりする一幕も。

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上映には香港の方々はもちろん,イタリア人,アメリカ人,イギリス人,韓国人と様々な国の人々が集まり,上映会終了後の質疑応答では様々な言語が飛び交う国際的な場となりました。

独立系映画撮影事情や上映事情についての情報交換がなされたほか,急遽くつした企画のフィルモグラフィーをプレゼンテーションする機会もいただきました。

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実は,最後には主催のGinaとの『とあるプロジェクト』のお披露目がちらりとあったのですが,こちらのご紹介はまた次の機会にいたしましょう…。

 

質疑応答終了後は,階上のバーでのパーティ。お客さん・関係者入り混じり,様々な話題に花を咲かせました。特に若い香港人映像制作者さんたちから,映像制作の立場から見た『香港の今』を聞くことができたのは大変有意義でした。決して明るい話ではありませんでしたが,それでも独立系映画制作の動きは決して途絶えない,その強さと意思に勇気付けられた思いです。

 

また,フランス育ちで韓国語よりもフランス語に堪能な韓国人や,イタリア語を使う機会がなかなかなく,英語中心の生活を送っているという香港在住のイタリア人など,バックグラウンドの複雑さも香港ならではだと感じた次第です。

 

帰国後,映画についての感想を香港の方からいただきました。微に入り細を穿つ丁寧な内容に大変感激いたしましたが,最後にあった一文が心に残り続けています。

『主人公たちの生きる世界にたびたび攻め込んで来るモダニズム軍団の姿に,自分たちの住む香港の状況を少しだけ重ねて観てしまいました』

本作『キャプテンビビッド』の主題はそこにはありませんが,香港は常に動き続けている。そのことを強く感じました。

オーガナイザーのGina Wong様,プログラムディレクターのGary Sze様をはじめとした映画祭のすべてのスタッフの皆様,
素晴らしい会場とお部屋をご提供くださったEATON HOTEL Hong KongとJames Acey様,ご来場いただいた観客の皆様に深く御礼申し上げます。