逆説ハヤシライス

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夜の外ロケには季節を問わず,
やはり『とろみのあるものをご飯にかける系』メニューが,
充実感があるので良いかと思います。
ある企画の撮影時,
『お米を炊き出しに使うと必ず雨が降る』
という,恐ろしげなジンクスがまことしやかにキャストさんたちの間で囁かれたことがありましたが,
今回ご紹介するのは,まさにそのジンクスを裏付けるような土砂降りの中で頂いたハヤシライス。

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カレーは,汁をある程度薄めても,スパイスの香りのおかげで充実感は保つことができるのですが,
ハヤシライスというものは,薄めるとてきめんに充実感が薄れる気がする。
そう,常々感じております。
多分,薄めると,トマトの酸味がうすらさびしい感じで浮き上がってくるのが問題かと思います。
ですので,炊き出しとなると,ハヤシライスは難物の部類に入ると思うのです。
『汁で量を稼げない』からです。
しかも,『味の源になるデミグラスソースは,量の割に余り安くない』からです。

ここは逆説的に考えてみましょう。
まず,デミグラスソースは使わない。
そして,量の割に安い具をやや濃いめに味付けして,具を中心としたハヤシライスにすればいい。
『汁がだめなら,具を増やせばいいじゃない。』
マリーアントワネットの名言です。
この一言が,炊き出しハヤシライス革命の引き金となるのです!

『具だくさんハヤシライス』 15~20人分

牛バラ肉 600~800グラム(アルゼンチン産の冷凍切りおとしが,グラム80円を切ることすらあります!すごい!ビバ日本の裏側!)
玉ねぎ 8~10個
水煮メンマ 5袋(一袋100円で売られています。)
ピーマン 20個(個人営業の八百屋さんだと20個入りパックのハネモノが160円前後で売られていました。
大型量販店は,お肉は安いけれども,野菜は高い傾向がある気がするので,狙うべくは個人経営の八百屋さんかもしれません。)
えのきだけ
ぶなしめじ
えりんぎ
しいたけ
…各適宜(その時のお値段と相談しつつ。特にお勧めは,『ひたすら安くてバターの味を良くからめ取ってくれる』えのきだけと,『火を通してもカサが減りにくくて食感が強い』えりんぎです。)

トマト缶 4個
日本酒 適宜(紙パック入りのもの。合成酒は,お料理に使うと妙な酸味が出てきてあまりお勧めできません。ボトルワインが安い場合は,赤のものを。)
ウスターソース 適宜
味噌(酸味とうまみの強い赤みそ(豆味噌)がお勧めですが,なんでもよいと思います。500ミリリットル一袋100円というのも,今は流通しているのですね。)
バター
コンソメキューブ 4個
小麦粉
醤油
みりん

<前日の作り方>
・お肉は解凍しておき,塩とお酒を振っておきます。
・ピーマンは種を取って太めの千切りに,玉ねぎは大きめのくし切りにしておきます。
・キノコ類は,医師付きをとって食べやすい程度にほぐしたり,切ったりしておきます。
・水煮メンマは水を切っておきます。

・大鍋にサラダ油を熱し,玉ねぎ,ピーマン,メンマを入れて炒めます。
・玉ねぎが柔らかくなってきたころに,お肉を入れます。
・お肉の色が変わってきたあたりで,小麦粉を上から降りかけながら炒め続けます。
・かき混ぜるヘラにかなりの抵抗を覚えるようになったら,トマト缶とコンソメキューブを入れ,続いてお酒を具の高さの半分くらいまで注ぎます。
・その後,お水をひたひたより少なめになるまで入れます。とろ火の中火で煮ます。
・煮立って具が柔らかくなってきたら,味噌,醤油,ウスターソース,みりんで味をつけます。
・みそは意外に多く入れても気づかれませんし,うまみととろみの元になりますので多めが良いと思います。逆に醤油は少しでよいと思います。
・ウスターソースは,入れすぎるとウスターソース一辺倒になるので注意。
・みりんは大胆に入れ,甘さを出します。

・味をなじませるためにとろ火で煮ている間に,フライパンにバターを敷き,キノコを炒めます。
・塩コショウで強めに味付け。そして最後に,お酒を振って煮詰めます。
・バター適宜と炒めキノコを鍋に入れたら,すぐに火を止めてふたをしておきます。

<当日の供し方>
・ごはんにあたためたハヤシソースをかけ,出来上がり。

このいんちきデミソース,岡山出身の方によると,『岡山のデミソースかつ丼のそれに近い』のだそうです。
お酒を多めに入れて,うまみと渋みを出すのが秘訣かもしれません。
『充実感』演出のポイントは,炒めきのこに強めの味付けをしておくことと,バターをくわえること。
そして,どちらも工程の最後に加えることです。
炒めキノコのバターと強めの塩コショウ,日本酒のうまみが,ぐいぐいお米欲を加速します。
あ。温めた玉うどんにかけても,おいしかったです。

いくら食べて力を蓄えても,雨が降っちゃったらおしまいなんですけれどね。