あたたまるベトナム

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幸いにもヨーロッパ方面の映画祭に作品がノミネートされ,イギリスやその周辺国に行ってまいりました。
しかしながらやっていることといえば,食い意地を最大限につっぱらかせてうなぎゼリーやタマゴのピクルス等をむさぼっては
『これ,炊き出しに使えるかもしれないな…』
などと卑近な原価計算に思いをはせるという,あまり本国での行動と変わらない体たらくではございました。

今回から何回か,そんな映画祭めぐりによって得てきた,
『炊き出しに使えそうな海外メニュー』の幾つかをご紹介してまいります。

フランスにて,かつて植民地であったベトナム料理をいくつか知り,
そのうちのひとつがとてももの珍しく,また安い材料でいけそうな気がしましたので,
試作してみました。
本来は香辛料使いに特徴があるのですが,
今回はできるだけ簡単に安く近い味が出せる方法を考えてみましたので,
その簡易版の方も併記しておきます。

ベトナム式のビーフシチューという感じでしょうか。
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『ボー・コー(ベトナム式ビーフシチュー)』 10~15人前

大根 2~3本
人参 大5本

にんにく ひと固まり

牛すね肉 2キロ (シチュー用の安いもの。やはり底値はグラム70円ほどでした。ビバ量販店。)

味噌 カップ1
塩  適宜
砂糖 適宜

<スパイス>
1)本格的な場合

パプリカパウダー カップ1
シナモンパウダー カップ半分
…これらを基調に,

フェンネル
コリアンダー
八角
クローブ
ターメリック
…これらを全て大さじ1杯くらい。

…さらに
月桂樹 5枚ほど

2)手っとり早く済ませる場合

五香粉に,シナモンとパプリカを同量混ぜるとそれっぽい香りになりました。
いずれも100円ショップで手に入ります。

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<前日の仕込み方>
・大根とにんじんは,皮付きのままそぐように乱切りにしておきます。
・にんにくはみじんに切っておきます。
・スパイスはそれぞれよく混ぜ合わせておきます。

・肉を適当な大きさに切り,ボウルの中でお味噌・みじん切りのニンニク・混合スパイス半分量とともに混ぜ,10分くらい置いておきます。

・大鍋に油を熱し,お肉と野菜を炒め,肉の表面が白く変わったら水をひたひたになるまで注ぎます。
・アクをとりつつ煮込みます。
・アクがとれたら残りのスパイスと砂糖・塩で好みの味に調えます。(八角とシナモンが甘みを演出するので,砂糖は控えめでよいかと思います)
・肉が柔らかくなるまで煮たら出来上がり。
・自然に冷ましてから蓋をして,冷蔵庫に入れておきます。

<翌日の供し方>
・鍋ごと温め,好きなだけ器によそっていただきます。
・ご飯にかけてもよいですが,安いフランスパンを大量に買ってきて浸して食べるとおいしいです。

スパイスの甘い香りが特徴的な,洋風ともアジア風とも言えない不思議な味わい。
お味噌のコクがまた,カレーのような不思議な充実感を醸し出します。
なお,お味噌は個人的には,赤みそか田舎味噌が合うかと思います。

牛のうまみが沁みた大根がとてもおいしく,甘みを増したニンジンがまた良い感じです。
ルーを使っていないのでさらりとしているため,ご飯にかけるとするする入っていきます。
が,何と言ってもフランスパン。
気泡の多いふわふわパンを浸すと,汁がじっくりしみてぐっしょりおいしく食べられます。

フトコロ具合に目をやれば,
何と言っても大根でカサが増やせるのが魅力的。しかもスパイス汁を含んだ大根がかなりの御馳走ですので,
うってつけの節約炊き出しメニューかと思われます。