出自のはっきりしないカレー

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くつした企画が本拠を置く札幌は,お盆を過ぎてとたんに涼しくなってまいりました。

夏の炊き出しには,防腐と暑気払いとスタミナ補充を兼ねたカレー料理が似合うように思います。
夏のカレーで当方が留意していることは,
1)ジャガイモは使わない
2)小麦粉のルーを用いない
の2つです。

ちなみに当方,個人的に市販のカレールーがとても塩辛く感じることから,もう長いこと使用していないため,いわゆる即席のカレールーの日持ちについてはよくわかりませんが,小麦粉を用いたルーはえてして傷みが早いもの。

今回のメニューは,スパイスの清涼感を前面に押し出したカレーです。

しかしこのカレー,少々出自に曰くありでございます。
そのミステリアスな感じがなんとも魅力的。

balti

バルティ 10~15人前

牛肉 若しくは ラム肉 若しくは メカジキ 1キロ
(冷凍の切り落としで十分です。某量販店では牛肉切り落としがグラム65円で安定して手に入るため,
大抵はこれを用いておりますが,お肉の専門店に行きますと,肩ロース塊肉の方が安かったりするので侮れません。
お肉の種類の選定基準は,『グラム100円以下で安い方』。場合によっては安い冷凍メカジキを使います)

月桂樹の葉っぱ 5枚

パプリカ
ターメリック
クミン
カルダモン
コリアンダー 各1ビン
(以上全て100円ショップで手に入ります。
パプリカがない場合が割と多いので,その場合は割愛してもよいかと思います。)

玉ねぎ 6個
赤パプリカ 2個 若しくはピーマン 5個
(パプリカの方が甘くておいしい香りがつきますが,ピーマンでも十分でした。
重要なのは,ピーマン系の青臭い香りをカレーに加えることだと思います。)

トマト 6個 若しくは トマト缶 3缶
(安い方を選びます。)

チューブにんにく
チューブしょうが それぞれ一本


こしょう

<前日の仕込み方>
・大鍋に油を熱し,あらみじん切りの玉ねぎを,にんにくとしょうがを乃凝らすチューブから絞り出してまぜつつ炒めます。
・玉ねぎ片の端がきつね色に焦げ始めたら,ざく切り生トマトかトマト缶を残らず加えます。
・しばらく炒め煮にして,水分が出て北に立ってきたら,スパイスと月桂樹の葉っぱを残らず入れて煮ます。
この,『調味料を煮る』というやり方が,スパイスの香りをさわやかにするようです。

・フライパンに油を敷いて温め,あられ切りの赤パプリカかピーマンを炒めます。
・ピーマン類がしんなりしてきたら食べやすい大きさに切ったお肉若しくは魚肉を入れ,表面に火が通るまで炒めます。
・炒めた具を大鍋に戻します。フライパンにこびりついたうまみがもったいないので,
大鍋の汁をフライパンに入れてこそげとりながら軽く温め,その汁を鍋に戻すと気持ちが収まります。
・ふたなしで煮込み,ピーマンが噛むとあっさり崩れるくらいになったら塩コショウをして味を調え,火を止めます。
牛肉の煮え加減は気にしないのがコツのようです。牛肉はある程度お肉の弾力が残っている方が,かみごたえがあっておいしいような気がします。

・蓋をしておいて自然に冷まし,鍋ごと冷蔵庫かクーラーボックスに入れて保管します。

<当日の供し方>

・鍋を温め,炊いたご飯にかけて食べます。

…または,当日2食分をこれで賄うという荒業も可能でした。

<当日2食分の賄い方>

1)朝食
・薄めのトーストパンをかりっと深めにトーストし,バルティをディップのようにつけながら食べる
2)昼食
・残ったバルティに薄切りのナスをくわえて温め,コーヒー用の生クリームを汁の色がベージュになるくらいまでくわえます。
・少しの塩味を足し,ご飯にかけて食べます。

スパイスが,油で炒られて立てる香りとは一味違う鮮烈な香りのため,
辛さがなくても十分にカレー感があり,辛いものがだめな方がいらしても安心していけます。
辛さを足す場合は,小口切りにした生の青唐辛子を入れるとさわやかです。
さらりとさわやかな香りのソースと一緒にかみごたえの残っているお肉を噛むと,
コクが滲みだしてきて嬉しい追い打ちをかけてくれます。

このバルティ,
インド風の料理なのにオリジナルのレシピは牛肉で作ります。
これには諸説あるようなのですが,
カレー料理が植民地からもたらされた時代,
イギリスのバーミンガム地方で考案された料理だ,という説があるようです。
異国で作られたインド料理。
なんだか文化の混交を味わうようで,うれしくなります。

夏が終わるころ,自然がたっぷりの環境での外ロケが入る予定です。
その頃にはもう,さわやかさではなく,体を温めるためのカレーが必要になって来るかもしれません。
たかが撮影の賄い炊き出しといえど,
それなりに旬や季節を感じさせるものなのですね。