私たちくつした企画は,北海道は札幌に拠点を置いております。
したがいまして,(これはどんな地域でも同じことはあままあるのだとは思われますが),
日本の他の地域とは食材の種類がかなり異なっております。
特にお魚。
例えば北海道では,ほっけは油ののったお魚の代名詞ですし,
逆に,昨年能登半島に取材に行った折には,鯵の塩焼きにいたく感動したりしました。
今回は,北海道では豊富で安い食材を使ったまかないですが,
ひょっとすると他の地域では高上がりになってしまうかもしれません。
ネックになるのは,この料理には欠かせない『アンチョビ』ですが,
ここも北海道ならではの安い食材で代用し,むしろおいしく仕上げることができましたのでご報告。
スゥエーデン料理でも,最も知られた逸品なのではないでしょうか。
糠ヤンソン 10人前
<材料>
ジャガイモ 1.5~2キロ(量販店で売られている,衣なしの業務用冷凍フレンチフライの方がお得です)
たまねぎ 5~6個
糠にしん 1尾(北海道では一般的な,にしんのぬか漬けです。)
牛乳
オリーブ油
パン粉
<前日の仕込み方>
※写真は,試作の時の少量バージョンです。ご了承ください。
・ジャガイモは皮をむいて太めのフレンチフライくらいに刻みます。
・玉ねぎは繊維に沿って薄切りにします。
・糠にしんは,糠を手でぬぐい取るくらいのいい加減さできれいにし,寸断しておきます。
・ジャガイモ・玉ねぎを油を敷いたフライパンで炒めます。ジャガイモの表面がすきとおるくらい,
玉ねぎが薄茶色になるくらい,がそれぞれの目安です。別々に炒めたほうが楽でした。
・耐熱容器の一番底に玉ねぎ,その上にジャガイモ,その上に裁断した糠にしんを散らしたのちに牛乳を玉ねぎの層が浸るくらいに注ぎ,
最後にパン粉で表面を覆ってオリーブ油(なければサラダ油)を回しかけ,オーブンで焼きます。
180度で2~30分くらいでしょうか。
※魚焼きでも十分にできました。その際は,中火の弱火で,容器の表面にアルミホイルをかけておくと全体に火が回りました。
・表面が焦げたら出来上がり。
・粗熱が取れたら,ラップで覆っておきます。
<当日の供し方>
・容器ごとフライパンに乗せ,アルミホイルで蓋をした状態にしてから火にかけると,
レンジがなくてもうまい具合に温まります。
・パン・ごはんどちらでもおいしかったです。
・朝・昼ごはんに向きます。
糠にしんのこくのある塩けと,玉ねぎの甘みがたっぷりまとわりついているので,
ジャガイモが胸につかえずたくさん食べられます。
オリジナルはアンチョビを表面に散らしますが,どうにもアンチョビが高い上にボリュームが出ない。
そこで糠にしんを使ってみましたが,むしろこちらの方が香りとうまみが複雑でおいしく感じられました。
糠のせいか,ご飯に載せてかきこんでもおいしゅうございます。
このメニュー,本来は『ヤンソンさんの誘惑』という奇妙な名前であり,由来はよくわかりません。
ヤンソンさんという名前からは,赤鼻で気難しそうなしわが顔に刻まれた北欧のおじいさんしか思い浮かびませんが,
糠ヤンソン,という名前にしてみると,どこか人懐っこい素朴な人物像が見えてくる気がしないでもありません。
料理には一切関係ありませんが。