火気厳禁なれど温かく

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火気が駄目でも温かい物を。辿りついた答えはアメリカ料理と日本の文明の神器でした。

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どんなに過酷な外ロケでも,一つだけ室内ロケよりも恵まれていることがあります。
それは,大抵の場合,コンロ等加熱装置の使用が許されること。
たとい辛い環境でも,あったかご飯は保障されると言う訳です。
しかしこれが室内となるとそうはいきません。
特に,今回のように会議室を借り切っての関係者上映会などという場だったりいたしますと,
おいそれと賄いを持ち込んでのささやかな立食パーティを行なうこともできません。
仕出し屋さんでオードブルを買ってくればよい?いえいえ。高くついちゃうんです。それに何より,味気ない。
そこで思いついたのが2つのアイディア。
1つは,『熱々じゃなくてもおいしく食べられる食べ物でメニューを構成する』ということでして,
いま1つは,また後ほどお知らせします。
今回は当日昼に仕込んでおき,夜に供しました。

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プルドチキン 30人分ほど

<材料>
鶏もも肉 3~4キロ(2キロ650円の冷凍ものを発見。ありがとう,ブラジル産!)
スリットロール 60本(ホットドッグのパンです)

>ソース
ケチャップ
マスタード(辛くなくて黄色い,ホットドッグに使うようなタイプのもの)
ウスターソース
黒蜜

>スパイス
チリパウダー(カイエンペッパーの方ではなく,パプリカにオレガノやガーリックパウダーが入ったブレンドタイプの方)
クミンパウダー

<当日の作り方>
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>ソース
・ケチャップ・マスタード・ウスターソース・黒蜜をボウルか何かに入れてよく混ぜます
今回の割合は,ケチャップ・マスタード・ウスターソース4:2:1として,最後に黒蜜をひとたらし程度にしました。
ウスターソースの甘さが思った以上に浮かび上がってまいりますので,黒蜜は様子を見ながら垂らすとよさそうです。写真では,意外に甘みが足りなかったのでお砂糖も入れています。
・お肉の仕上げにも使いますので,食べる時の追加トッピング用に多めに作っておきます
・こぼれないよう蓋つきの容器に入れておきます

>お肉
・鶏もも肉に,チリパウダーとクミンパウダー,塩をよくまぶしつけておきます(30分くらいで充分だと思われます)
スパイスの配合はお好みで。今回はチリパウダーとクミンは5:1くらいにしてみました
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・大鍋か圧力鍋に油を熱し,鶏もも肉の両面を焦げ目がつくくらいに焼き固めます
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・そこに,お肉全体が3分の1くらい浸かるくらいの水を入れ,蓋をして煮ます
普通のお鍋ですと1時間くらい,圧力鍋ですと,蓋をして強火にかけ,湯気が出始めてから弱火にして20分ほどで柔らかくなりました
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・蓋を開け,お肉を崩しながら水分を飛ばすように煮込みます
・水分が飛んだら,ソースを入れてよく混ぜ,出来上がり
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・完全にさめてから炊飯ジャーの中にお肉をびっしり詰め,上からラップをしっかりかけてから蓋を閉めて炊飯器ごと持ち運びます。

ボイルドグリーン
<材料>
キャベツの一番外側の緑色の濃いところ・カブの葉っぱ・大根の葉っぱ・冷凍ホウレンソウなど 合わせて1キロ半ほど
ベーコン・もしくは豚の脂身 200グラムほど

こしょう

<当日の作り方>
・ベーコンもしくは豚の脂身は細切りにしておきます(豚の脂身の場合は,脂身に軽く塩をまぶしておきます)
・大鍋に適当に刻んだ野菜とお肉を入れ,焦げ付かない程度にごく少量の水を入れ,蓋をして中火で煮ます
・野菜がぐずぐずに崩れかけるまで煮えてきたら,味を見て塩コショウをし,お酢をたらして少し酸味をつけて出来上がり。
・完全にさめてから炊飯ジャーの中に野菜をびっしり詰め,上からラップをしっかりかけてから蓋を閉めて炊飯器ごと持ち運びます。

<当日の供し方>
・プルドチキンとボイルドグリーンの入った炊飯器を供する1時間前ほどから保温にしておきます
・おのおのにお皿にのせたスリットロールパンを配り,パンの上に自分でプルドチキンを載せ,その横に付け合わせとしてボイルドグリーンをよそってもらいます
・好みでペッパーソース・ソースをたらし,いただきます
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アメリカの料理本でよく見かける,スロークッカーで作るご家庭バージョンのBBQレシピ,いわゆるCrock Pot BBQ chickenを,炊き出し風にアレンジしてみました。
リーぺリンソースはウスターソースで,日本ではお高いモラセスは黒蜜でそれぞれ代用。
お肉にすりこむスパイスは,100円ショップで手に入るもので簡略化。
ソースに入ったマスタードのおかげで,ぐっとそれっぽい味わいになるのでした。
ボイルドグリーンの葉っぱ野菜は,安い冷凍ホウレンソウなどを使用。豚のコクがじんわり効いて優しい味わいですが,ペパーソースで刺激を加えるとこれまたおいしゅうございます。
当日は,これらにディップの一種,『ピメントチーズ』を添えました。

と,いうわけで,冒頭で述べました,火気厳禁の場所で温かい賄いを供するためのもう一つのアイディアは,『炊飯器の保温機能を利用する』でした。
『熱々』とは行かないまでも,『あったか』程度にはなりますので,事前の仕込んだお料理は完全にさめてからパッケージングすること,火入れのタイミングを供する直前にすることの2点を守れば,
安全に賄いを供することができそうです。

こうして,無事火気厳禁の会議室での立食パーティは行なわれたのでした。