ハレの炊き出し その1 メインディッシュはギリシャ的

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撮影現場での炊き出しが,いわば日常のそれ,『ケ』の炊き出しなのだとすれば,
イベントやパーティなどでの炊き出しは,『ハレ』の炊き出しといえましょう。
個人的な見解を申さば,ハレであろうがケであろうが炊き出しの発想は一切変わりません。
つまり,安くて食べでのあるものを用意する。これにつきます。
しかし,せっかくのハレの場ですから,いくつかの演出をくわえる必要がある。
そこで,以下の点に注意するようにしております。

1)3品以上用意すること
2)方向性の違うバラエティに富んだ品を用意すること

これはずいぶんとぜいたくな。そう思われるかもしれませんが,裏を返せばこうです。

1)いつもの一品に用いている材料を3品にばらして用いる
2)その際,『肉』『野菜』というように,品ごとに食品ジャンルを偏らせる

なんだか夢の無いパーティ炊き出しのようですが,これが意外にバランスよくしあがるものでして,写真のメニューは,まさに今週木曜日にありました上映会の時のメニューです。

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ほら。意外に充実した感じ。

テーマはアメリカ料理。
『アメリカ料理といわれても想像できない。』とおっしゃられるお客様が多数でしたが,
それがまさに物珍しさを引き出す(いやらしい)演出効果でもあるのです!
3つのメニューを供させていただきましたが,全部ご説明すると長いので,3回に分けてご紹介しますね。

その1:『シンシナティ・チリ』

材料 15~20人分

牛サイコロステーキ 1キロ(幸いにしてグラム80円のものがありました。ひき肉よりも10円ほどお得なので,
最近はよく用います)
玉ねぎ 4個
にんにく 1ポーション

トマト 6個~8個

<香辛料>
大さじ5~6くらい入れるもの
・チリパウダー(カイエンペッパーではなく,混合香辛料の方)

大さじ1くらい入れるもの
・シナモン・オールスパイス・クミン・ココアパウダー・オレガノ・胡椒

小さじ1くらいでいいもの
・クローブ・ナツメグ

※このうちどうしても入れておきたいのは,4つだけです。
胡椒・シナモン・ココアパウダー・チリパウダー
あとは,なくてもそれっぽい味になります。

酢 一カップくらい

砂糖

スパゲティ 2キロ

<前日の作り方>
・お鍋に水を2リットルほど注ぎ,ほぐしたサイコロステーキを入れて強火にかけます。
・火が通ってきたら中火に落とし,玉ねぎとニンニク,トマト,香辛料と酢を入れます。
・トマトがなじみ,全体がとろりとしてきたら,塩と砂糖で甘辛く味をつけて出来上がり。

<当日の供し方>
・あらかじめスパゲティをたっぷりゆでて油を絡めておいたものを用意します。
・各人の器にスパゲティを入れ,温めたチリをかけて出来上がり。お好みでチーズを上にたっぷりと。

こちらのチリは,アメリカはシンシナティ名物の少々変わったものです。
聞いたところによると,ギリシャ系の移民の方が,自国のシチューにアレンジを加えて作ったものとこと。
特にシナモンとクローブが甘く香り,
個人的にはギリシャ料理というよりも,モロッコ料理のような雰囲気を感じます。
ココアパウダーの苦みとコクも捨てがたいので,ぜひお入れください。

アメリカ料理,しかもローカルフードという物珍しさの割には癖がなく,万人に好まれる味。
珍しさが会話の糸口になって効果的な場合もございますね。

今回は,3品の内の一品。『肉っ気』担当のメニューをご紹介しました。
次回は残りの2品のうちのどちらかをご紹介。
ちなみにあとの2品は,『デビルドエッグ』と『南部スタイルのコールスロー』でございます。
ほら。肉と野菜と卵。普段ならいっしょくたにして一品作るところを,もったいぶって3品に分けただけ。
なのに贅沢をした気持ちになれないこともありません。