量をたくさん作らなくても,ご飯が進んでおなかが膨れるもの。
丁稚さんたちにおける,おからの炒り煮。
大家族における,足りなくなったら水を足してかさが増やせる真っ黄色ルーカレー。
日本における大規模な人数での食事と言うものは,
まさにこの『主食と副菜との戦い』といっていいでしょう。
そういう,『それなりの量でがっちりご飯が進んでおなかにドスンと収められる』
系の炊き出しは,
特に劣悪な環境での撮影によく似合いますし,必要とされるような気がします。
そんな炊き出しについては,やはり餅屋に聞いてみるのが一番です。
餅は餅屋。
大人数炊き出しの先駆者,それは軍隊さんです。
旧日本陸軍の調理法について何気なく調べていて,複数の部隊で人気ナンバーワンだったという,
大ヒットおかずのレシピを発見しました。
これ,かなり奇妙な組み合わせです。
大丈夫なの?
『豆豚煮』 10人分ほど
・豚バラ塊 500グラム~800グラム
(安売り量販店などにいくと,グラム80円を切ることもあります。冷凍物なら70円から60円台も夢ではない!)
・切り昆布 4パックほど
(生のものがお魚コーナーに売られています。1パックみっちり入って100円。)
・赤インゲン豆 缶詰めなら3缶
(100円ショップで外国産(ブラジル産)のものをよく見かけます。)
・トマト水煮缶 2缶
(これも100円ショップで買えるかと思います。ホールでもキューブでもよいと思います。
経験的底値は88円。なければケチャップでもよいかもしれません。)
・塩
・砂糖(ケチャップを使う場合は,使わなくて大丈夫だと思います。)
<前日の作り方>
・豚バラ肉は,一口大に切っておきます。
・大鍋を熱してサラダ油をしき,豚バラ肉の表面が白くなるまで炒めます。
・そこに豆と切り昆布,トマトを入れ,煮込みます。
・砂糖と塩で甘辛く味をつけます。
・豚バラがほろりと崩れるようになったら,出来上がり。
・蓋をしてさましておきます。
<当日の供し方>
・ご飯を炊いておき,あたためた豆豚煮をのっけて掻き込みます。
結果としてはとても大丈夫でした。
昆布のだしとぬめりが,相性のいい豚肉のだしを相まって,
しかもそこにトマトのかすかな酸味とコクが追いかけます。
うまみだらけの水泳大会。
うっすら甘辛いすっきり味付けも大正解。
多少昆布が溶けようが,逆にうまみに変わるくらいですので気にしなくても大丈夫。
おおざっぱでおいしい,炊き出しにうってつけの食べ物でした。
炊き出しサイドから考えると,
うまみがぎゅっと詰まった食べ物なので,少ない量でも十分に足りる,
というところがありがたい感じです。
昆布は乾物を,豆は缶詰めを使い,
さらに豚バラの塊に一つかみの塩をまんべんなくすりこんで出てきた水分をよく取り除いた『塩豚』を用意しておけば,
山奥など,あまり大荷物で行くことができないようなロケ先でも簡単に作ることができますので,
で真価を発揮しそうです。
ただ,これだけだと少々華やかさに欠けるかもしれませんので,
けんちん汁やキノコ汁など,汁ものを合わせるのかも手かもしれません。
あ。本末転倒ですね。