泊りがけのロケや合宿的稽古など。
これはもう,『前日炊き出し』の原則を守ることはできません。
したがってその場で調理をすることになります。
その際,気をつけていることは以下の3点です。
『傷みにくいもの』
『なるべくかさばらないもの』
『調味料はなるべく少なく』
撮影機材や舞台装置のスペースを脅かす量の食材,という事態は避けなければなりません。
シンプルな材料で満足度の高いもの。
これはもう,肉と穀類の組み合わせがなによりでしょう。
肉じゃが,何て言うのもございます。
しかしそれにはジャガイモと玉ねぎ,『丸くてかさばる』両巨頭がそろい踏みしてしまうことになります。
では,ジャガイモとお肉を軸に,別の料理を考えよう。
幸いにして,世界にはこの組み合わせを中心にしたお料理が豊富にございます。
さらに幸いにして,弊団体・くつした企画は北の最果て,札幌を拠点としておりますので,
ラム肉は比較的安い。
そこで作ってみたのが,こちら。
玉村豊男さんの本,『料理の四面体』に紹介されておりました名菜を若干がさつにアレンジしてみました。
がさつ風アルジェリア式羊肉シチュー 10~15人分
ジャガイモ 1~1.5キロ
羊肉 1キロ(オーストラリア産ラム肉切り落としがグラム80円前後。ただしこれは北海道に限るのかもしれません。)
トマト缶 2~3缶
韓国産甘口唐辛子の粉末 300~500グラム一袋
塩
<作り方>
・大鍋に油を多めに敷き,強火で羊肉を炒めます。
・表面が白くなってきたら,2つ割くらいにしたジャガイモを全部入れ,全体に油を回すようにかき混ぜます。
・トマト缶を入れ,塩を入れ,その後に唐辛子粉を入れてふたを閉めて中火のトロ火に。
・たびたび開けてみて,ジャガイモがほっくりしていたら出来上がり。
<供し方>
・深めのお皿にジャガイモを中心に盛り付けて食べます。
・つぶして汁と混ぜたジャガイモを,パンに塗りつけて食べてもおいしいです。
シチュー,とは言うものの,汁というよりはジャガイモをおいしく食べるためのメニューという趣。
羊の油の香りが,余り辛くなく甘い香りとうまみの唐辛子にうまく助けられて香ばしくおいしいです。
付け合わせには,乾燥海藻を水で戻したものをマヨネーズとごま油,醤油とこしょうで和えたサラダなどが,
かさばらずに持って行けるので良い感じでした。
上手くするとこれ一品で副菜と主食を兼ねることができますが,
野獣のような食欲の若者などがスタッフにいる場合は,パンを幾片か用意しておくのもよい気がします。
ご飯に合わせる場合は,このままでも十分おいしいのですが,
ケチャップなどで甘みを足してあげた方が万人向きである気がします。