泊りがけの場合 その3 使い回せ!食べかけ!

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食べかけを使い回す。
なんとも物騒なタイトルではありますが,これにはわけがあります。
その訳とは,もっていった素材を未調理のまま残しておくよりも,調理してしまった方が『持ち』が良い,という事実。
ロケに持っていった素材をまとめて鍋にぶちこみ,適度な間隔で火を入れ続けることで傷みをとめる。
乱暴ながら,一番てっとり早い衛生への配慮,というわけですね。

そんな訳ですから,この手法を用いた場合,一日のロケで賄われる炊き出しは,
3食全て同じ鍋から繰り出されるということになります。
今回は,その一例のご紹介です。

そうそう。
この方式で炊きだすにあたり,一つだけ注意しなくてはいけないことがございます。
それは,決して直に個人が使用している箸やスプーンなどの食具を鍋に入れないこと。
ごく当たり前のことなのかもしれませんが,一つ鍋で炊きだしたものを2食以上にまたがっていただくばあい,傷みやすさの原因になるように思います。

朝:『けんちん汁』 20~25人前

きのこ類 各3袋くらい(ぶなシメジ・えのきだけ・まいたけ・えりんぎ・干ししいたけ・きくらげなど。出汁がでるので干しシイタケ(スライスのものが安いようです)とまいたけもぜひ!)

きんぴら用野菜パック 5袋ほど(あらかじめ笹がきになったごぼうとニンジンが水に浸してあるもの。)
玉ねぎ 6つ
木綿豆腐 5パック
油揚げ 5袋(小揚げが5つばかり入っているものが安いようです)

粉末出汁
めんつゆ

<当日の作り方>

・キノコは石づきを切り取ってほぐしておきます。
・きんぴら野菜パックは水を抜き,玉ねぎはくし切り,油揚げは細切りにしておきます。
・大鍋にごま油を熱し,玉ねぎを炒めます。しんなりしてきたら豆腐を崩しながら入れ,野菜パックときのこをくわえて油を全体に回します。
・キノコがしんなりしてきたところで,お水と粉末だしをくわえ,人参が柔らかくなるまで煮ます。
・最後にめんつゆと塩を入れて味を調え,できあがり。

<供し方>
・椀に持って,おにぎりを添えます。

昼:『カレーうどん』

※追加する材料
・豚こま切れ肉 800~1キロ(やはりブラジル産冷凍コマ切れが安い!)
・カレー粉
・片栗粉
・かぼちゃ
・ゆで玉うどん 人数分

<当日の供し方>
※ロケに出る前に,皆さんが食べ終わったころを見計らって調理します。

・お椀に片栗粉とカレー粉を水に溶いたものを用意しておきます。
・余ったけんちん汁に水と麺つゆ,乱切りにしたかぼちゃを足し,火にかけます。
・沸騰したら豚こま切れ肉を入れ,火が通るまで軽く煮ます。
・一度火を止め,カレー粉と片栗粉の水ときを鍋に入れてかきまわした後,再び火にかけます。
・めんつゆと塩で味を調整し,うどんを全部ぶちこんで少しだけ煮たら火を止めます。

<供し方>
・大きめのお椀にごっそり盛ってたべます。

けんちん汁をカレーうどんに移行させるという力技です。

野菜だけの具ながら,ごま油風味のぐちゃぐちゃ豆腐がコクがあっておいしいけんちん汁。
そして,かぼちゃの甘みがカレーらしさをぐんと引き上げるカレーうどん。
同じ具ですが,それなりに違った方向性が出て充実のご飯になりました。

カレーうどんは,かぼちゃを入れると甘みが出て食べやすくなる上,とろみも付きやすくてよいかんじでした。
けんちん汁・カレーうどんともに,味の決め手はお塩。麺つゆの甘辛い味を,塩でちょっぴり引き締めると,
食が進む味になるような気持がしました。

この炊き出しをした時には,
朝は屋根のある場所での食事となりましたが,昼の食事場所は寒い山奥。
とろけたかぼちゃが本当にありがたく思われました。
少しなべ底が焦げちゃいましたけれども。