例年になく厳しい冬だった北海道も,ここにきてようやく雪解けと相成り,
いつもの季節のペースに追いついたような気がいたします。
4月。この月は当方らくつした企画にとって,少しばかり特別な意味をもっています。
いつもご一緒してくださる構成メンバーの皆さんの中に,やたらとこの月生まれの方が多い。
そこで折に触れ合同お誕生会を催すのでございますが,
実は祝われているみなさんはご存じない。
この会,その年の撮影時の炊き出しメニュー実験に格好の機会なのです。
今回お届けするのは,お誕生会の宴で試作してみたはいいものを,
その過剰さ故に封印されたメニューの一つ。
いえ。決して不味いというわけではなく,むしろ大変に美味しいこの一品。
なぜ封印されたのかは,材料の分量を見ていただければおわかりになるかと思います。
『チーズバーガースープ』
牛赤身ひき肉 2キロ
玉ねぎ 大3個
セロリの軸 ひと束
にんにく 4から5粒
カットトマト缶 2缶
シュレッドチーズ(できればチェダーチーズ) 1キロ
牛乳 2パック
ホットドッグ用マスタード 中くらいのもの ひと瓶
レタス 2玉
コンソメキューブ 3つ
塩
こしょう
ケチャップ カップ1
ピクルスの汁 少々
<当日の作り方>
・玉ねぎとセロリは粗めのみじん切り,にんにくはこまかめのみじん切りにします。
・カットトマト缶はざるに上げ,ジュース部分をよく切っておきます。
(ジュース部分は他のお料理に転用しておいしくいただきます。
昆布と一緒に厚揚げを煮るのが結構なおすすめ。味付けは麺つゆで。)
・うんと大きな鍋に油を熱し,ひき肉を炒めます。
・ひき肉の赤味がなくなったら,にんにく,玉ねぎ,セロリを入れ,セロリがすきとおるまで炒めます。
・そこにカットトマト缶のトマト部分,コンソメキューブを放りこみ,ひたひたになるくらいの少なめのお水を入れます。
・あくをとり,セロリが指でつぶれるくらいになったら,チーズ,牛乳,マスタードを入れ,中火の弱火にして沸騰しないようにします。
・再び沸きかけたら,塩・こしょう・ケチャップ・ピクルスの汁を入れて味付けします。
味付けの目安は,『ハンバーガーの味がして笑ってしまう』感じのバランスです。
・最後にレタスを手で細かくちぎって入れ,火を止めたら完成。
<当日の供し方>
・スープ皿に盛り,できるだけくにゃくにゃの頼りないパンを添えていただきます。
・ペパーソースも合う気がします。
味はまさに,『液状のチーズバーガー』。
高カロリー食なので,おそらく極地でのロケにも耐えうるメニューでしょう。
意外にバランスが取れておいしいのですが,
草を食んで生きてきた草食系民族である日本人は,どうしても食べているうちに罪悪感を覚えてしまいます。
こんなに過剰なうまみと栄養のものを食べて,鼻血が出たりしないだろうか。罰は当たらないだろうか。
実は外資系の某量販店で買い出しをしない限り,牛の赤身ひき肉がコスト高になるというネックがあり,
それが封印した大きな理由の一つでもあります。
実はこのメニューは,現代のワカモノたちが老人になった時に向け,
現代の嗜好のまま老いた人向けの『老人向けファストフード』事業を興す時の主力商品にしようと思ったのですが,
専門外なのでやめました。
ひょっとすると近い将来どこかで始めたりするかもしれませんね。
でも,映画にすると面白いかもしれません。
ジャンクフード好きの老人たちが集まって,健康問題におびえながら世界初の介護ジャンク食ブランドを立ち上げるまでの物語。
映画のポスターは,ファストフード店員風の病院着を着て車いすに乗ったおじいちゃんが,
両の手のひらそれぞれにハンバーガーと入れ歯を乗せている写真で,
キャッチコピーは,
『俺たちは,あきらめない』
なんてどうだろうか。