ハレの炊き出し ハイブリッドシャワルマ

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ドネルケバブを安く大量に。行き着いた答えが『ギリシャとトルコのいいとこどり』でした。

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炊き出しにもハレとケがございますが,今回はハレの炊き出しのお話。
当方がこれら2つの性格の異なる食事のメニューを考える際に意識しているのは,以下の点でございます。

ケの場合の炊き出し,つまり普段の撮影などの食事の場合には『しっかりとした量を,暖かいうちに』。
ハレの場合,つまりパーティなんかの場合には『遊戯性があり,温度が関係ないものを』。

いえ。別にパイ投げでもしようってんじゃございません。
食べる方が自分で選んだり,組み合わせたり,巻いたり焼いたりできる,という意味での遊戯性です。
こうしますと,まず楽しい。そして食べ物を介して話題づくりがしやすいので,場が和む。こんなハレの席にうってつけの利点がございます。

もちろん,作り手のほうとしての利点もばっちりございます。
まず,実は対してお高い素材を使わなくても,特別感のある食事に仕立てることができる。
自身の手で料理の最終段階を仕上げることが,最高の調味料になるわけですね。
そして,これが一番の決定的なところなんですが,実は材料費がケの炊き出しのときよりも少なくて済むことが多い。
遊戯性を持たせると,人は意外に早く満腹してくださるような気がします。手を動かすことが満足感につながるのでしょうか。

 

今回ご紹介しますのは『チキンシャワルマ』。平成最後の年の新春,くつした企画の新作映画関係者上映会の折に振舞わせていただいたハレの炊き出しです。
日本では『ドネルケバブ』と称されることが多いこのお料理。実は中東からギリシャまでのかなり広い範囲で微妙に形を変えつつ愛されているようです。
今回は,基本的には中東寄りの香辛料使いで,材料費を抑えた形にしてみました。
材料費という意味で問題になるのが,ソース。鍵となる食材である『練りゴマ』が結構なお値段です。そこで今回は,ソースだけをギリシャの『ジャイロ』風にしてみました。
そして,若干高いピタの代わりに,最近安く手に入るようになったフラワートルティーヤを使用。
『いいとこ取り』というよりも『安いとこ取り』という気もいたしますが,ともあれこれらの要素が『ハイブリッド』たる所以です。

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ハイブリッドチキンシャワルマ 30人分

 

鶏もも肉3キロ

 

<香辛料>

パプリカ    大さじ2杯

オールスパイス 大さじ1杯

カルダモン   大さじ1杯

シナモン    大さじ1杯

 

しょうが親指大1かけ

にんにく2かけ

レモン1個

食用油

 

 

<ソース(ザジキ)>

きゅうり 2本

にんにく 2かけ

ディルシード 大さじ2杯

ヨーグルト 3パック

コショウ

オリーブオイル

 

 

<付け合わせ>

キャベツ

 

 

冷凍ピタパンもしくはフラワートルティーヤなど

 

 

 

 

■前日夜の仕込み

大きなバットに鶏もも肉を広げ,すり下ろしたにんにくとしょうが,香辛料,塩、レモン汁,絞ったレモンの皮のみじん切り(黄色いところだけ)を振りかけて混ぜ合わせ,ラップをして冷蔵庫で寝かせる。

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■当日の調理

<お肉>

オーブンを190度前後に余熱し,トレイに鶏もも肉を重ならないように広げて40分から80分焼く(お肉の厚みなどによって焼きあがり時間が変わってきます。フォークなどで肉を真ん中から大胆に裂いて,火が通っているかどうかお確かめください)。

中まで火が通ったら,オーブンから出してアルミフォイルをかぶせておく。

荒熱が取れたら,手やフォークで一口大に荒く裂いておく。

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<ソース>

きゅうりをスライサーなどで千切りにする。

ボウルなどに切ったきゅうりを入れ,塩と酢少々を振りかけて混ぜ合わせ,しばらく置いておく。

別のボウルなどにヨーグルトを入れ,摩り下ろしたにんにくを混ぜる。

きゅうりから十分水が出たら(果肉が透き通って,かなりしんなりします),水分を絞ってヨーグルトの中に入れる。

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<ピタパン・フラワートルティーヤなど>
袋に記されたやり方で解凍し,重ならないようにして一度冷ましたのち,重ねてラップでくるむ。(熱いうちに重ねてしまうと,お互いにくっついてしまうことがありました)

 

 

■運搬準備

お肉・ソースそれぞれを大きめのボウルなどに入れ,しっかりとラップでふたをする。

 

 

■当日の供し方

ホットプレートの温度調整を『余熱』に合わせ,お肉を広げて暖める。

ソース・付けあわせ・ピタパンなどをその周りに配し,自由に食べていただく。

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本メニューを炊き出したときは,冷凍のミックスベリーと水や牛乳で溶くタイプのカスタードクリームなども沿え,デザートとして楽しめるようにもしてみました。
あえてクミンを用いないことでオールスパイスとカルダモンが中東感を強く感じさせ(単なるイメージですが),ものめずらしい気持ちにさせてくれます。
とんでもない組み合わせを巻いて渋い顔をしながら食べているお客さんを見て楽しむのも,味のうちですね。