国際交流的炊き出し

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撮影現場に海の向こうからのお客様。ここは一つ,炊き出しで国際交流と参りましょう。

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2017年度の年明け早々に始まりました撮影。
初日には,台湾からのお客様がいらっしゃってくださいました。
となれば,折角ですから,かの国のお料理を炊き出して振舞うことにいたしましょう。

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台湾には,家庭料理から外食の定番まで,安価でポピュラーな材料を用いた,実にご飯に良く似合う名菜が揃っておりますが,
『安く大量に炊き出す』という観点からしますと,少しばかり考えなくてはいけない事がございます。
それは,材料。
『安価でポピュラーな材料』と申しましたが,それはあくまで『台湾で』という但し書きつきです。
あちらは亜熱帯に片足を突っ込んだ温帯気候最南端。
こっちは亜寒帯と隣り合わせの温帯気候最北端。
事情が全く違います。
北海道では高価だったり,そもそも手に入らなかったりするものも多々ございます。

そのあたりをあれこれ考え,炊き出しましたのが以下の献立。
北海道でも手に入りやすい材料で,しかも材料を一部使いまわしつつ2品を作ります。

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メニューその1:魯肉飯(ルーローファン)
20人~25人分ほど

<材料>
豚バラ塊肉 2キロから2キロ半
卵 30個
サラダのトッピングなどに使う輸入物の『フライドオニオン』 カップ1ほど

醤油
ザラメ
日本酒
五香粉

<前日の作り方>
・大鍋に水を1リットル,酒を1リットルほど張ります
・豚バラ塊を,キャラメル2個分くらいの大きさに切り分けて鍋の中に入れ,強火にかけます
・沸騰したらあくを取り,中火の弱火の火加減で30分ほど煮ます

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・30分後,大きなボウルに煮汁を500ミリリットルほどとり分けます
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・煮汁を取り分けた鍋に,醤油とザラメ,五香粉を入れて味をつけます。
味加減は,醤油2カップほど,ザラメ大匙4くらいからスタートし,
ご飯にかけてちょうど良いくらいの濃さの甘辛味に調整します。

・この間に,30個のゆで卵を作っておきます。

・1時間後,肉が柔らかくなっていたら出来上がり
・殻をむいたゆで卵を煮汁に漬かるように入れたら火を止め,蓋をして完全に冷めたら,輸送時にこぼれないよう,蓋の周りをラップでぐるぐる巻きにして冷暗所に保存しておきます

メニューその2:魯白菜(ルーバイツァイ)
20人~25人分ほど

<材料>
白菜 大2株
煮干 大き目の手で一掴み
サラダのトッピングなどに使う輸入物の『フライドオニオン』 カップ1ほど


日本酒 カップ1ほど

<前日の作り方>
・白菜は一口大よりやや大きめにざく切りにします
・余裕があれば,煮干の頭とはらわたを取ってきます

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・大鍋にサラダ油を適宜敷き,十分に熱したら,煮干と白菜のざく切りを入れ,全体が少ししんなりするまで炒めます(焦げないように,火加減は中火の強火くらいが良いようです)

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・取り分けておいた魯肉の煮汁,日本酒と塩,フライドオニオンを加えます。ひたひたにならないようでしたら,水を適宜足します
塩加減はお好みでどうぞ。当方は『日本の煮物としては物足りないが,白菜の甘みが良くわかる』くらいにしております。
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・半蓋で白菜がくたくたになるまで煮えたら出来上がり
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・蓋をして完全に冷めたら,輸送時にこぼれないよう,蓋の周りをラップでぐるぐる巻きにして冷暗所に保存しておきます

<当日の供し方>
・ご飯を炊きます
・魯肉,魯白菜を火にかけ,暖めます

・どんぶりにご飯を盛り,魯肉をかけ,卵を載せ,魯白菜を添えていただきます。
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一般的な作り方と少々異なるのは,以下の3点。
1)台詞のやり取りのある撮影であることを考慮し,ニンニクの使用を避けたこと
2)若干癖の強さを抑えて万人向きにしつつ手間を省くため,炒め工程をなくしたこと
3)味付け卵をやわらかく仕上げるために,ゆで卵を魯肉に入れた後,すぐに火を止めたこと
そのため,ほんのちょっぴり,和の雰囲気が濃厚な2つの台湾菜になりました。

馴染み深い甘辛に、五香粉が香るエキゾチックな濃い味,魯肉。
豚の煮汁と煮干の出汁をたっぷり吸った,甘い白菜が魅力の魯白菜。

どちらの料理も、『フライドオニオン』の香ばしさが味の下支えとなりますので,
100円ショップや,輸入食品の安売りセールなどでよく見かけます。
こちらは実は代用品でして,本来はエシャロットの一種であるらしい『紅葱頭』をラードで揚げた『油葱』と呼ばれるものを用います。
この『油葱』,困ったことに台湾では安価に出回っておりますが,日本では手に入りにくいものの一つなのです。
そのため,安価な『フライドオニオン』を代用に使おうという考えでございます。

召し上がった台湾からのお客様は,『台湾では魯肉飯は外で食べるものだから,つくった事がないよ!』とびっくりされていました。
確かに,あちらでは少人数で食べる分には,外食の方がはるかに安くておいしゅうございますものねえ。